2006.10.29 23:21
この村の柿は特徴のない柿で、
縦長でもないし平べったくもない。
ところが、とんでもない特徴がひとつある。
これが嫁泣かせといわれる理由になった。
じつは日本の柿はもともと皆渋柿だったのだ。
その中から甘柿が変異種で出現した。
神様の贈り物みたいに。
そんな事情で甘柿は接ぎ木で増やすのだそうだ。
苗木を買ってきたときすでに接ぎ木された苗だそう。
ところがである。
渋柿が渋いのは当たり前。
種が十分に成熟するまでにもがれたら、
子孫を残すのに不都合だからだ。
だから渋い実にまずなってから、
後で甘くなる。
熟れた柿の実…
(真っ赤な夕日に似た、しかし昏い赤色。、
シャーベットにすると最高の甘さ)
でもすぐじゅくじゅくになって傷みやすい。
出荷するには向かない。
それで堅いけれど甘い、
ヘンな品種が、求められたわけだ。
今の甘柿とは、近世の経済に合わせた商品の柿。
商品化品種の登場を意味している。はず。
自給自足の暮らしでは、熟れたのから食べ、
渋いのは置いておき、熟れさせて食べる。
余るほどなら渋のまま剥いて干し柿にする。
それが自然な暮らしの形なのだ。
この地の柿は自生種の柿で、
特徴はバラバラに熟す性質があること。
出荷し始めたとき、問題が発生した。
全部渋柿か、
全部甘柿かならば
出荷には好都合なのだが、
混ざっているのだ。
甘柿に渋柿がまざっている。
しかもこの甘柿は、当時としてはとても甘く、上品な味。
人気も高い。値も高く売れる。
そして、
さぁ、嫁が泣かされる番だ。
----ぼくも今では、
どれが甘柿で、どれがまだ渋柿か、
9割以上、当てられる。
9割じゃ駄目。完璧じゃなければ…
と舅、姑が言う。
出荷の篭にひとつでも渋が入っていたら、
信用なくす!
土地で育った舅や夫は簡単に見分け、
ン十年の姑はよそから来てもベテランになってる。
嫁は泣く。柿のせいで泣く。
写真はかつて若い嫁達を泣かせた、
その柿なんです。
黒い点々状に糖分が詰まった、
美味しい柿。
ぼくは今日初物として5つも食べたのでした。
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