2013年10月31日木曜日

漢詩: 偶成 




寒々とした日差しが葉の落ちた枝にあたっている茂みの中

遠くから渡ってきて吹く風は分かれ道の上で舞う

少年の頃は何でも好き嫌いや選択ははっきりしていた

年老いて狐は埋めたり掘ったりいっこうに決まらない、迷うている



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俳句: 秋の日 天高し 鵯 南天の実 など


2013年10月27日日曜日

俳句 : 鳥兜






鳥兜最後に暮るヽ村はずれ

短歌: 野菊


 道すがら 野菊の風情と云はれたる
 君を憶ひぬ ひとむら咲けり


 痛みもちて物思ふ道に しろじろと
 野菊の咲けば われきはまれり

2013年10月23日水曜日

俳句:破殻の制御さるる身雨そぼろ





メルトダウン抱えて「制御」はないよ。


小さく弱い生き物ほど影響は深刻なんだ。

我から「破殻」になって詠んでみます。

    破殻の制御さるる身雨そぼろ

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2013年10月21日月曜日

回顧旧情  -羅馬-





西施の笑まひか 花のやう 
春はみすみす 目のあたり
 
驟り雨する 河づつみ 
目に潤はしき ねこ柳
 
両人 互いを懐ひつつ 
いま別れゆく ローマかな
 
きっと 忘るな わがかげを
佳き酒酌みしその日々も 

 

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2013年10月20日日曜日

漢詩  無題


 青 裙 紅 玉 若 荷 花
 

 落 托 江 湖 多 酒 笳
 

 郷 里 帰 来 辛 処 世
 

 曙 光 私 転 暖 残 涯


  青裙 紅玉 荷花の若し
 

  江湖に 落托して 酒笳 多し
 

  郷里に 帰来するも 処世 辛し
 

  曙光 私かに 転じて 残涯を 暖む


 青裙 緑のスカート
 紅玉 生き生きした玉のような肌
 荷花 ハスの花
 落托 人目を憚らず自由に振舞う
 江湖 世間のこと
 酒笳 酒と笛 宴の比喩
 処世 生きること
 残涯 残り少ない人生、またその身の上
 私  ひそかに




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俳句 つゆくさ


 たはむれし百夜草の夜や指のあを



2013年10月18日金曜日

秋思


垂白文章猶未成      幽襟独嘯佇蓬生      凄風敲戸帰鴉乱      桑葉翩翻揺月明


























秋思

    垂白文章猶未成

    幽襟独嘯佇蓬生

    凄風敲戸帰鴉乱

    桑葉翩翻揺月明

    垂白ナルモ文章猶未ダ成ラズ

    幽襟独リ嘯イテ蓬生ニ佇ズム

    凄風戸ヲ敲キ帰鴉乱レ

    桑葉翩翻タリ 月明ニ揺ル

垂白 髪が白くなっていること 老いを象徴
文章 「文章は経国の大業、不朽の盛事なり」「文は人なり」
幽襟 胸に秘めた深い思いのこと
蓬生 よもぎふ 奥まった処の意味で使う
凄風 冷たく吹き荒ぶ風
帰鴉 巣に帰るカラス
桑葉 桑の樹とその枝葉

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2013年10月11日金曜日

玄米粥



以粗糲為好餌

壮時些誤俗言中  壮時 些か誤る 俗言の中
嘗為以膏常作躬  嘗て膏を以って常に躬を作ると為す
糲粥晨炊得滋養  糲粥 晨に炊げば滋養を得て
十匙一覚賞天功  十匙 一覚 天功を賞す

わかいとき ちょっと うのみにしたものだ
あぶらみこそが からだを つくると
げんまいの かゆ あさに かしげば じようがついて
じゅっさじ はこべば ありがたさが わかる 


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2013年10月8日火曜日

村社置酒


村社置酒

探歴鳴蝉暮鳥音
追踪白兎雪花林
星霜老去山河在
耳順座中霑酔深




2013年10月6日日曜日

賽社に過ぎる

街にも村にも秋の風情が見られ郷愁を掻き立てられます。
旅愁を題に漢詩を一首作りました。

賽社(さいしゃ)は秋の実りの収穫を感謝する祭。秋祭り。賽は「報いる」の意味。<賽社に過ぎる>秋祭りに立ち寄ること。客愁(かくしゅう)は旅の愁い。
家山(かざん)は故郷の山。
<意訳>

旅人の想いは遠く故郷へとつながって行きます。

秋の村祭りが賑やかに響いて村人たちは皆笑顔です。

楓の木にもう赤く色づいた葉を見つけました。

空には秋の叢雲がいっぱいでもう帰心一途になってしまいます。





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2013年10月1日火曜日

平家公達流亡之図に題す



 平家公達流亡之図に題す

孤鞍 遠く望む 半輪の秋

風笛 商声 散じ未だ休まず

異境の紅顔 残鬢の客

故情 忘じ難きを 那邊にか流る


  秋の夜 半月の懸かる天を仰ぐ一騎

  強風が高い音を起て吹きつのる

  異郷を落ちいく若者の鬢はほつれて

  昔の恩情は忘れがたいものの、
  何処へと流れていくこの身なのか



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