2013年8月1日木曜日

俳句 : 毎年同じ頃に夏ばてしている

去年の同じ頃暑気に負けて挫けていたら俳句を一日で十句創ってご覧という助言を戴き作った。

ここに再掲して今年の励みとする。二三箇所の手直しをした。気が付いたことは去年より一日の長を得ているからだと思いたい。







2012年7月26日      

 ①、死にかけの蛙ごときに夏の雷

 ②、食紅や指透き通る蛙の手

 ➂、放散する気体孕めり夏の月

 ④、南風に向き胡蝶の羽化の雨催ひ
     南風(はえ)

 ⑤、暑気疲れ 空白の町に雲が湧く

 ⑥、昧爽の 柿の花踏み帰る路次
   (あかつきの)

 ⑦、酒一斗 李白帰せば天の川
     李白も<李白に似た>酒豪も好きだ

 ⑧、この妻のことばが涼し 熱帯夜

 ⑨、日に透けしかまきり避けて葉をゐざる
              (よけて)

 ⑩、夏草や野猫のくさめ二度三度

俳句 : 夏の雑詠






 羅や紅をひく娘のにいと笑む

 古日傘出し眺めゐて又仕舞ふ

 身仕舞に団扇とゞめて目を瞑る

 夕顔とやゝ寛解ぎし妻と居る

 虹見ゆと教えし君の小鼻かな

 暁の虹君と旅寝の日は果てゝ



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2013年7月30日火曜日

俳句 : 夏休





 団扇手に子らは蛙の目借り時

 寝覚めたであせも肌して食卓へ

 ダイオード硬き声なる夏の宵

遠い時代の夏休みである。
団扇、扇風機、氷柱が涼を呼んでいた夏である。
あせもの子がいた夏、鉱石ラジオを組み立てた夏。

田舎へ往って思いっきり
遊び呆けることが出来た子供らがいた日本の夏。
懐かしい記憶の中のさびしい日本である。
しずかなしずかな記憶の中の日本の夏である。




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2013年7月29日月曜日

俳句 : 夏の夜の雑念から




俳句 : 夏の夜に



  臣しんざう ひのまる漢 土用浪

     しんしんざう ひのまるをとこ どようなみ

  蝸牛鳴いて崩壊炉の蒸す日頃

    かたつむりないて くゑろの むすひごろ

  国のこの真闇へ夜鷹キヨッと鳴く

    くにのこの まやみへ よたかきよつと なく



おはようございます。
朝から雨が降っています。
昨日は年に三回から四回ある村の道の草刈でした。
かんかん照りにひとりで任された一画を刈りましたが、
熱中症を心配せねばならないほど暑かったです。

それなのに豪雨被害に見舞われていた地方があったとは
帰宅後のニュースでみて驚きました。

犠牲者もあったということですが、残念なことです。
高齢者が亡くなられていることに国の現状をあらためて感じます。

ミッシング・リンクとかいって
始めから計画的に斑に寸断して造った道路を繋ぐ公共工事(コンクリート政治)の復活に
まい進している時じゃないのですが。

豪雨に強い国土を造るのは目に見えにくい治水の目配りと手当てです。
どうも安倍さんの言う国土強靭化というのは方向が違うんじゃないですかね。

まだ豪雨の危険は去ったわけではないという予報でしたから、
気をつけていましょう。

草刈の疲労で物を持つのも物憂くて休養をはかっています。

ちょっと皮肉な俳句がその無為な時間に出来ました。
出来はよくありませんが、自分の力ではこんなところなのだろうと思います。


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2013年7月23日火曜日

俳句 : 桔梗




 手紙あり押し花ありぬ盆じたく

   てがみありおしばなありぬぼんじたく

 桔梗やこゑと目と手とのみ憶ふ

   きちかうやこゑとめとてとのみおもふ



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2013年7月20日土曜日

俳句 : 夏から秋へ 或は ほのかな恋



 かなかなや里の夕日に犬痩せて

   かなかなやさとのゆうひにいぬやせて

 野の闇に蛍一つを見て往にき

   ののやみにほたるひとつをみていにき

 七夕にあてもなく来て泊りしか

   たなばたにあてもなくきてとまりしか

 着流しの肩動かさず蚊を叩く

   きながしのかたうごかさずかをたたく



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俳句 : かなかなとわたしと





世界で一番短い小説になっていないでしょうか?



  かな ゝ ゝ ゝ ゝ 我は女を如何せん

    かなかなかなわれはなんじをいかんせん




漢文を読むと偏のない字を偏のある字と同じに使っている例があります。

古い時代は同じ字で違う意味の同音語を表し字を共用していたのです。
汝を女と書くのも音が同じだったからです。それを使ってすこし遊びました。
どうにもままならないことが人間関係にはままありますね。



俳句 : 麦酒飲む



 麦酒飲む宵越の小さな悔いと

  ビールのむよいごしのちいさなくいと

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2013年7月18日木曜日

俳句 : 伊勢の旅 昔を今に



 甘咬みや雲の伊勢路の夏の恋

  あまがみやくものいせじのなつのこい

 跡隠す神は伊勢風青あらし

  あとかくすかみはいせかぜあおあらし

 海女語伊勢の島廻の人ひでり

  あまがたりいせのしまみのひとひでり


夏の旅、それはエロスに出会う旅であり、凄絶の過去に出会う旅であり、哀切と不在を感じる旅である。また吹く風も涌く雲も死者の記憶を争う旅でもある。個人と歴史の相克をたどる旅である他ない旅である。

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