人生有漏未離縁 ○○●●●○○
空讀遺篇不可眠 ○●○○●●○
一夜寒蛩弦月下 ○●○○○●●
孤山早暁在吟邊 ○○●●●○○
人生有漏なるも 未だ縁を離れず
空しく遺篇を讀んで 眠るべからず
一夜 寒蛩 弦月の下
孤山 早暁 吟邊に在り
【自注】
旧友を思う詩をもうひとつ。
最近死去した一人の詩人を想って作詩しました。
孤独に耐え抜いたという意味で剛毅なひとでした。
三冊余の詩集を残しました。
その詩集を開いて読みながら思いは過去へ。
ベトナム戦争など激動する世界を見つめながら
まっすぐに生きて行きたいという願い、その志を記した詩の数々。
世に広くは知られる詩人ではなかった。
けれども私にはずっと忘れずにいたい人と作品であり続けるでしょう。
:人生有漏: 仏教のいう有漏とは存在の有限性、不完全性、無常性でしょう。
:蛩: こおろぎ、 寒蛩で晩秋から冬の蟋蟀を表します。
:絃: いと、 楽器の弦。 月如絃は月がきわめて細くなっている情景。
さて出来栄えはどうだろう。平仄や二四不同ニ六対などはOKか。
前半二句で人の状況後半二句で自然光景をという構図にはなっているが。
漢詩人の友人の助言を得て手直ししたものです。
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