2013年9月25日水曜日

俳句と漢詩 : 夕暮れの灯の下で秋を思う

渺渺として美人は 客夢に残す  星は移り落托して 燈を挑ぐるも寒し  旧盟未だ尽きずして 江山杳かなり  懐に氷心を抱きて 長く一歎す

こんにちは。晴れた一日になりそうです。

俳句と漢詩を同じモチーフで作り並べるという試みをして見ました。
漢詩の平仄は合っているはずですが他は自信ないのです。
俳句は新涼という季語を使いました。

新涼には、新しい、新鮮なというニュアンスがありますが、体に感じる涼気に気付くときの感じがこめられた言葉だ思います。

 新涼や胸は古傷有りと云ふ

自分では日常に埋没して日を送っていても、
季節の変わり目のひんやりした肌触りに秋を感じるとき
様々な人生行路の出来事を思い返したりします。

胸に古傷、ではなく胸が「古傷有り」と云うのです。
皆さんはそうでないかもしれませんが、
一つや二つ秋風に沁みて思い出される傷がありませんか?

漢詩もそういう情景を作ってみたのです。

渺渺(びょうびょう)と云うのは広々としておぼろなこと。
客夢は異郷にあって見る夢、旅人の夢。カクムとも読む。
残すはザンスと読む。ノコスではない。
星移は星霜に同じ。年月のたつこと。
落托は落ちぶれること。
挑燈は灯をかかげること。
旧盟は古い誓い、約束のこと。男女の契りの言葉でもある。
江山はここでは故郷の山河のイメージとして置きました。
杳(よう)ははるかに。
氷心は真心、清い心、澄みきった心。

 晩燈愁思

 渺渺美人客夢に残す
 星移落托、挑燈寒し
 旧盟未だ尽きず、江山杳かなり
 懐抱氷心、長一歎


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