2013年9月19日木曜日

俳句 : 台風

 


夜半中台風を聴き茶を啜る

台風の丘は一軒夜を怖る

道に被り出水は夜の田へ向かう

夜の声出水の村のまっ二つ

こゑ止まぬ夜更けの野分缶詰で

野分去り妻が顔拭く白タオル

台風の過ぎしタオルのあたたかや






2013年9月17日火曜日

漢詩 : 送別詩




一別衰翁思  一別 衰翁思う
白雲送客悲  白雲 送客の悲しきを
晴風吹露菊  晴風 露菊を吹けば
落雁水霄涯  雁は落つ 水霄の涯


霄=「しょう」空のこと



あっさり別れたこの別れ 老い衰えてのもの思い

白い雲へ客を送り ただ悲しむだけなのだ

晴れた日で 風は菊の露を溢して吹き

雁は落ちていく 遠い空と水の涯まで


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2013年9月16日月曜日

漢詩 : 暈月愁思



風催帰燕過人閒

水映紅霞是往還

故侶故郷不息憶

秋声暈月対愁顔


風は帰燕を催(うなが)し 人閒に過(よぎ)る

水は紅霞を映し 是(ここ)に往還

故侶、 故郷   憶えば息まず

秋声、 暈月   愁顔に対す


燕に帰るをうながして
風は世間に吹き通る
夕焼け空の川に映え
ここに往還 あるばかり
ひとぞ 故郷ぞ 憶わるれ
尽きぬ思いの愁い顔
虫鳴く声に
月の暈

2013年9月13日金曜日

俳句 : 夜長の時期になって



 詩を賦すや誰に夜長の酒熱き

 きみいづこ花野のはづれ丘のうへ

 葛のはなこぼれて静か吾はあり

 数うれば蛾は三匹の夜学の燈



漢詩 :  観月偶感 


今回は頭から作っていった起承転結の順で。難しかった。
それで意を尽くした終わり方ではなかった。それが反省点。


 蝋涙香烟形影思

 多年宿志在天涯

 如何閉戸悲塵世

 詩骨無端孤月窺 


 



2013年9月8日日曜日

魚玄機 送別其のニ






送別 其二 魚玄機

水 柔 逐 器 知 難 定 

雲 出 無 心 肯 再 帰 

惆 悵 春 風 楚 江 暮
 
鴛 鴦 一 双 失 群 飛 



水は柔かに器を逐うも 定め難きを知る

雲は出づるも心無く  再帰肯なう

惆悵たるかな春風   楚江の暮

鴛鴦は一双たるも   群を失して飛ぶ

2013年9月7日土曜日

漢詩 : 有朋遠来寓居

俳句や短歌ができない。頭が止まってしまっている。

何故に漢詩ならできるのだろう?

出来ばえはともかく作れる。

たぶん詩語集と平仄記号付きの絶句用の型紙があるからだ。

入門書の指示通りにやっているからできるのだろう。


平水韻 上平四支の韻


 題  有朋遠来寓居  朋あり遠きより寓居に来る


 夕陽籬影従陶詩   夕陽 籬影、陶詩を従え

 帰鳥啼猿落葉時   帰鳥 啼猿 落葉の時

 朋友吟来柴桑宅   朋友 吟じ来る 柴桑の宅

 欣欣温酒共囲棋   欣欣 酒を温め 共に棋を囲む






 夕陽に透けて籬(まがき)のシルエットができ 陶淵明の詩を思わせる

 ねぐらへ帰る鳥、林で親を呼ぶ猿の声、落葉が続いている時刻

 懐かしい友が 詩を吟じながら 田舎の宅に来てくれた

 わくわくした嬉しさに酒の燗を調えたらさあ向き合って碁盤を囲む。


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漢詩 : 秋夜偶成

懲りない、という姿勢で何度でも拙い作に耐えて漢詩作詩に挑戦しています。 

             七言絶句 平起式 韻は平水韻 十一尤

  秋夜偶成

  桂花香閣訪無由

  破壁月明暮雨収

  往事迢迢人已去

  孤燈多感不堪秋


2013年8月26日月曜日

俳句 : 薄一面の野原



薄光る原を通らむ月出でし   

薄光るその尾の浪に果てを見し