2013年8月26日月曜日

俳句 : 薄一面の野原



薄光る原を通らむ月出でし   

薄光るその尾の浪に果てを見し

2013年8月21日水曜日

俳句 : 薄闇に居る



迎え火を焚かず我あり薄闇に

俳句 : 夏の終わり




振り返るほど美しき夏の悔い


蜩は夜明けを待たじ夏逝きぬ 


蜩=かなかな

月下美人



 月下美人今宵顕になりし無知

   げっかびじん こよい あらわになりし むち



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2013年8月19日月曜日

俳句 : 盆過ぎて




 迎え火を焚かず我あり薄闇に


  むかえびをたかずわれありうすやみに


 なごり坂だらだらだらり盆の闇


  まごりざかだらだらだらりぼんのやみ


 盆過ぎの身のおとろへて庭潦


  ぼんすぎてみのおとろえてにわたずみ


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2013年8月16日金曜日

俳句 : ペルセウス座流星群の夜



 我が裡の胸走り火や星流る

 流れいく星に後れて吐息かな

 流れたる星に声あり夜の川

「胸走り火」は造語ではありません。

「胸走り」と「走り火」が合わさってできた近世の言葉だと思います。
辞書にもあります。





 星流るゝ見合うて失せし君の顔

 号泣のその余は知らじ天の川


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2013年8月13日火曜日

俳句 : 夏日から




 我を余所に蟻は列なす黙々と


 夏の夜の鏡に光る眼に見入る


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俳句 : 芋の句





客僧の食い残したる芋の端


芋は秋の季語ですが、俳句では里芋を指すことばです。


ここでは客僧は旅の僧でも他の寺に身を寄せる僧でもなく、
法事や法話に招かれた招待された僧侶を指しています。

接待する側はそれなりに気をつかっていろいろと出すのですが、
田舎のことゆえ不調法でもあり、また量の多さも度外れだったりで。

余す気の無い僧の方も持て余して詫びて箸を置くわけです。


そんな情景を詠んでみたつもりです。

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俳句 : 失ったもの




 大蓮を大蓮と云う今日炎天下

  おばつじを おおはすという きょうび えんてんか


 路上にゐる汗に濡れたる黒頭

  ろじょうにいる あせにぬれたる くろあたま



 河内では今日(こんにち)を「きょうび」と云う。


 東大阪市大蓮。昔は「おばつじ」と云った。いまは「おおはす」
 漢字表記は変わらないが、呼び変えたのだ。


 「おばつじ」は大蓮の正確な読み方から出ている。
 元来は「おおはちす」と呼んだのであろう。
 「おおはちす」が「おおはつし」さらに「おはつじ」と発音が変わっていった。
 河内にはこういう音変化が多い。

 矢作(やはぎ)が「やわぎ」さらに「やうぎ」「ようぎ」
 今の「八尾木(やおぎ)地元は今もヨーギと呼ぶ」である。

 八尾市の八尾は物部氏の一族である矢作(やはぎ)氏から来ている。
 あ、これは自説ですが(笑)別の説もあります。


 このオバツジは当麻寺の伝承に寄り添う言い伝えがあります。
 当麻寺に伝わる当麻曼荼羅を織り上げた中将姫の伝説です。

 「当麻曼荼羅」 

 その中将姫はこの「大蓮」の池の蓮が立派なのを知って通ってきて採り、
 ついにあの曼荼羅を織り上げる祈願を果たしたという。


 その話を教えてくれた友の所在を私は失ったままです。

 夏の暑い日にこの思い出が蘇るのも不思議です。

 名前が「おおはす」と変えられても私の思い出は変わりません。


 汗だらけの黒い頭で私と一緒に西瓜に食らい付いた遠い日々の友の顔も失いません。




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2013年8月11日日曜日

俳句 : 日盛り




 沖へ曳く酷暑に舵の軋む音


 抗うて進路は変えず日の盛


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2013年8月9日金曜日

俳句 : 熱帯夜





 その後の寂しさ知るや遠花火

 熱帯夜死んで一万三千百余日

 紙の蝶を額寄せ折りき賜りし

  額=ぬか







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2013年8月6日火曜日

習作の七言絶句: 旅愁

杜牧の作品を下敷きにして詩語表を繰って作ってみた。






杜牧では春だが私は暫く旅をしていないので旅愁をイメージしたいと秋にした。

いくつも気になる点があるが、一区切りつけて一里塚にしておく。







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2013年8月5日月曜日

漢詩の作詩法の学習 

 



  山居偶成

   小橋一路白雲峰
 
  風竹青蓮午睡濃
 
   数里鶯声深樹下
 
  雨来山門已鳴鐘
 


詩語表を使って半ば「自動的」に手順を追って漢詩をつくる練習を始めてみる。

平起式と仄起式のパターン表に詩語表から自分で判断して選択した詩語を並べていく。

一三五不論、二四不同、二六対、下三連と孤平・孤仄の禁などを意識する。


さて誰かに添削してもらわないと自分では誤りに気がづきにくい。

どうしたものか。


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2013年8月2日金曜日

俳句 : 神々の夏





    夏座敷女の童神あるや
    なつざしき めのこの わらしがみ あるや

    市の夜のまさかは皆付喪神
    いちのよの まさかは みんな つくもがみ

    花火見えたちまゝ消ゆる泪かな
    はなびみえ たちまちきゆる なみだかな

    花火とは闇に撒く虹幼な妻

    はなびとは やみにまくにじ おさなづま







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2013年8月1日木曜日

俳句 : 毎年同じ頃に夏ばてしている

去年の同じ頃暑気に負けて挫けていたら俳句を一日で十句創ってご覧という助言を戴き作った。

ここに再掲して今年の励みとする。二三箇所の手直しをした。気が付いたことは去年より一日の長を得ているからだと思いたい。







2012年7月26日      

 ①、死にかけの蛙ごときに夏の雷

 ②、食紅や指透き通る蛙の手

 ➂、放散する気体孕めり夏の月

 ④、南風に向き胡蝶の羽化の雨催ひ
     南風(はえ)

 ⑤、暑気疲れ 空白の町に雲が湧く

 ⑥、昧爽の 柿の花踏み帰る路次
   (あかつきの)

 ⑦、酒一斗 李白帰せば天の川
     李白も<李白に似た>酒豪も好きだ

 ⑧、この妻のことばが涼し 熱帯夜

 ⑨、日に透けしかまきり避けて葉をゐざる
              (よけて)

 ⑩、夏草や野猫のくさめ二度三度

俳句 : 夏の雑詠






 羅や紅をひく娘のにいと笑む

 古日傘出し眺めゐて又仕舞ふ

 身仕舞に団扇とゞめて目を瞑る

 夕顔とやゝ寛解ぎし妻と居る

 虹見ゆと教えし君の小鼻かな

 暁の虹君と旅寝の日は果てゝ



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