2013年5月6日月曜日

蟆の声が聞こえた気がする




微熱あり臥す身に暗に蟆のこゑ

 びねつありふすみにあんにひきのこえ

夕月の田みづかゞやく村となり

 ゆうずきのたみずかがやくむらとなり

2013年5月5日日曜日

吹き流し




   西向きの坂に来りし老いの夏

   吹き流し夜はためくを聴いて居り

   覚悟さへ遠くにおいて夏の川



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花の雨



鼻緒切れ接ぐ間の足や花の雨


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余花の路



余花たづね踏みし小道の冷え加減


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合歓の花




   ゆめに見し己が地金やねむの花

   優しかれ夢はひとつにねむの花

   ゆめひとつ見ている閑ぞねむの花

   ねむ咲ける森は過ぎたり川が見ゆ





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2013年5月3日金曜日

一重の白い花。山吹だった。



しろひとへ山吹の花陰影の濃き
しろひとえ やまぶきのはな かげのこき


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囀る空に


囀やつくばひの水昼の空

囀やかつて失意を知らざりき

囀=さえずる



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黄砂降る日々




 妹の葉書に黄砂薄く載る

 春の海児の整列へ黄砂舞う

 菜の花や黄砂が度る海に釣る


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2013年5月2日木曜日

俳句: 介護の部屋から






  花冷えや母が袂の蘭奢待

   はなびえや ははがたもとの らんじゃたい


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蘭奢待(らんじゃたい)正倉院に残る銘香で目録には黄熟香とある沈香の一種。
蘭奢待という名は一字づつ東・大・寺の字が隠されている一種秘匿手法。

 一介の老婦が蘭奢待を炊き込めるはずもない。婉曲な暗示解くべし。

2013年5月1日水曜日

忘れ難き春



 つまねむる春ふる雨の弱き脚

 花わさび水はかゞやき又翳る

 昭和の日わが青春の捨て処

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