2013年5月15日水曜日

蝸牛


ひとかげの靴のところにかたつむり


スカラベの夏



 真夜を往く銀河を目途の歩をさだめ



ふんころがしという昆虫は
丸めた糞を転がして運ぶ姿が太陽を運ぶ姿と見立てられ
古代エジプト人に愛された。
スカラベという装身具は彼をかたどっている。
最近の研究でその運搬に
昼は太陽を夜は月を目標にして方向を間違えないと分かった。
月のない夜は銀河の光を頼りにして
運ぶことも確かめられたと言う。

俳句: 5月14日の作



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真夜を往く銀河を目途の歩をさだめ

ひとかげの靴のところにかたつむり

全身が感電したわわわわ 夏

夏来る見出しに勝る一句出来い

     出来い=こい

帰るさに樹は囀りて背を照らす

かげろふや君が立ち処の草いきれ

   立ち処=たちど

氷河期も夏こそ不滅滴れり

哀し たゞ からだのなかに虹たてる

地の悪は天空にも 薄き虹たてる

   天空=そら

虹を見て邪気なしいつか恋すべし

2013年5月12日日曜日

十五万人三度目の夏が来た






  十五万人三度目の夏が来た

  じゅうごまん にん さんどめの なつが きた 




  夏草や天日襲ひ起つ瞋 

  なつくさや てんじつ おそい たつ いかり




  草萌えもいま夏の野に賊となる 

  くさもえも いま なつの のに ぞくと なる




  草茫々故郷を恋ふ十五万 

  くさ ぼうぼう ふるさとを こう じゅうごまん 




  十五万今も烈しき海の夏 

  じゅうごまん いまも はげしき うみの なつ

2013年5月11日土曜日

端坐せる母を憶へり夏座敷



 

         端坐せる母を憶へり夏座敷

         傾きて猶も端居の蒸す日かな




泥田の光


      蚯蚓出で正午泥田のひかり増す

雨蛙



        跳んでから田螺御免と雨蛙

        雨蛙小池の雨のうすあかり

        雨蛙ひたと聴きいる山の音


        NHK俳句の題に『雨蛙』が出ていたので作ってみました。


2013年5月7日火曜日

昼寝




寝返りをうって昼寝のふっと覚め

ゆめに追ふきみの背に触れ昼寝覚む

昼寝覚む羽化する蝶に似てひとり

覚めて猶昼寝のゆめのきみを追ふ

2013年5月6日月曜日