2012年4月22日日曜日

春 無限

――――茅屋穀雨に濡れて宵に蟇来る 


春むげん 我にさ渡る蟇の声
 

身を処せる蟇如何にせむ 穀雨の夜
 

穀雨降り蟇の面を濡らす夜
 

如何なれば此処選みしか 春の蟇


この一夜 穀雨に濡らす互いの手



2012年4月10日火曜日

花の闇


物凄き春をひとりか 花あらし  

花冷えや何を託ちて温るき風呂 

遠くゐて あなたに似てる花いちご 

レスメール こころちぎれて花の闇


2012年3月23日金曜日


渦潮に友の大声暮れそむる

うずしほにとものおほごゑくれそむる


涅槃西風




素裸のみ魂ゆららに涅槃西風

すはだかのみたまゆららにねはんにし

2012年3月18日日曜日





埋もれて梅花に染みし細おもて

花蔭も明るし妻や梅に寄れ

亡き義母に似て来ぬ妻や白き梅

そら甘く風止みがちの岡の梅

遠く見て梅花まで至るそぞろ脚

千億の梅花 千億がみな佛心

開けきらぬ春に胡曲とベンシャーン

2012年3月11日日曜日

龍天に昇る


龍昇る 龍穴に出入りの小商人

りゅうのぼる あなにでいりの こあきなひ

3.10 ストップ原発集会の日に



山背のやま笑う 風明るんで
やましろのやまわらう かぜあかるんで


蕗の薹 木津川辺の朝餉かな
ふきのとう きづがわへんの あさげかな


春の風京に向かってのる電車
はるのかぜ きょうにむかって のるでんしゃ



卒業の句

卒業や居ぬ児も共に並ぶあり  
そつぎょうやゐぬこもともにならぶあり


海去りき 百花に相別れ卒業す  
うみさりき ひゃっかに わかれそつぎょうす