――――茅屋穀雨に濡れて宵に蟇来る
春むげん 我にさ渡る蟇の声
身を処せる蟇如何にせむ 穀雨の夜
穀雨降り蟇の面を濡らす夜
如何なれば此処選みしか 春の蟇
この一夜 穀雨に濡らす互いの手
蘆舎の朝猿聲を背に豆腐煮る -----我が家の如きを蘆舎といへり
大雪の窓叩き笑む皃昏し ----大雪はタイセツと読む 皃はカオ。
冬硝子のっと躯に入る太き肢 ----躯をミと読みたい、ムクロではなく。
----肢はアシと読む。
氷雨滂沱手前自慢の驢馬の耳
----亡き河野裕子を悼む。
失せひとの迹隠しいらぬ雪ほろろ
----河野里子もあらためて亡ぜし感あり。
鳳仙花ぱんと弾けて迹隠し
自販機を抱かんと堕つ流星群
そらと惚け白衣に入る冬の蝶