2013年11月22日金曜日

漢詩 無題:七言絶句(仄起式)



碧 葉 虫 書 傳 断 絃

秋 娘 已 就 草 茅 眠

発 哭 慨 然 春 水 渡

胡 蝶 遥 遥 翔 至 天




 碧葉 虫書 断絃を傳う

 秋娘 已に就く 草茅の眠り

 哭を発して 慨然 春水を 渡り

 胡蝶 遥遥 翔りて 天に至る

虫書:虫の食った葉の様子が独特の文字痕のように見えること
断絃:夫婦の中を琴悉に例えることから、その縁が切れることを言う。
秋娘:しゅうじょう。元は唐代の美女の名前。美人を言う。
草茅:雑草の青青と繁る様子。
発哭:声をあげて泣くこと。
慨然:胸が詰まって嘆いている様子。


あおい葉の虫食い痕は 絶えた夫婦の縁を告げる手紙だ

美しかった貴女は いまはもう 草葉の陰に 眠るのだ

わたしの歎く声は 春の川を向こうに とどくだろうか

蝶はゆらゆら迷うように 翔けて 空まで上りゆく


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