あの春の桜は此処ぞ今を咲く
桜さくら跡形も亡き故郷かな
ともに見し花明るうてしづかなり
とをさくら儂(わし)もあんたも人のはて
水逝くや花満開の翳る下
さんぐわつの蓋とぢたまゝさくらかな
はなくるゝ ひとはうつくし
ものかなし
その うしろかげ たつ みゆ きゆも
NHK「俳句」にもエッセイでも秘密保護法反対の気持ちを吐露しつつ、
若者への思いを書いておられますね。
新年の宮中行事の「歌会始」の選者を夫婦で努めた方ですが、
今の世情への危惧と文学的立場での社会性を踏まえての発言として
貴重な一石を投じることをされたと評価したいですね。
しがらみよりも大事なものを自覚されてのことと感銘を受けました。
戻る
番待ちのぶらんこ戻る やや暮れて
来て戻るうなゐの夢へしゃぼん玉
年末にも正月にも節分にも母にここ八尾には桜の綺麗な場所がいくつもあるから車で見に行こうなと声を掛けた。その気にもなってくれていた。だから桜の咲くのが今は怖いような待ち遠しいような揺らぎの中にいる。
写生ではない。空想でもない。へんにリアルな桜が自分の中で咲き始め満開になって散り零れていく。そんな感じでのいくつかの桜の句。
桜闇
涙ごゑ聞きたる気して 桜闇
咲く前にこぼるるほどに 山桜
風の中ゆるゆる歩く 春の坂
見せたしと告げにし桜咲き零れ