2013年7月15日月曜日

俳句 : 夏:夜の窓



 蛾の数の夜毎に増えて梅雨終わる

   がのかずの よごとにふえて つゆおわる

 蛾の羽音消して近づく夜の雨

   がのはおと けしてちかづく よるのあめ

 蛾を咥え守宮は横へ退き見えず

   がをくわえ やもりはよこへのき みえず


どれほど激しい降りでも夏の夜には雨はどこか優しい。
梅雨が明けてから夜窓辺へやってくる蛾が増えた。
大きなのもいます。
雨の降る音を聞いているとこころが休まるのを感じます。
今夜もやもりと静かな時間を過ごします。
やもりよ其処に居るのは知っているのだよ。
ぼくもお前からは見えないわけだ。
除虫菊製の蚊取り線香もまっすぐな煙を昇らせています。

.


2013年7月14日日曜日

俳句 : 海の旅


 油照り神島を告げし妻のこと

   あぶらでり かしまを つげし つまのこと

 大日女南風の神島に照り渡る

   おおひるめ まじの かしまに てりわたる

.
tabi tanabe kashima  



2013年7月11日木曜日

俳句 : 夏山の句 浪花の暮らしの句



 起ちあがり森山を背に雨魚釣り

    たちあがり もりやまをせに あまごつり


 井戸渫浪花の天ハ雲ひとつ

    いどさらい なにわのてんは くもひとつ




.

2013年7月9日火曜日

俳句 : 蛍の火





 七夕の窓にほのかな光とぶ

 夕星やわが織り姫も歳とりぬ

 搔いとれば指に明るむ蛍の火

村中に蛍がいるそんな環境も山が荒れていくことで失われつつあります。

2013年7月6日土曜日

俳句 : 夏散居する身辺から



 測るがに渓へ没する夏の蝶

 蟻死して照る日に小蟻集るかな

 山居には煩ひ無用ほととぎす

 画集開け喜悦大暑に時を消す

 夏天使来よ雑念も尽くるべし

 寝息たつジブリのアニメ終るころ

                       集る:たかる


.

2013年7月5日金曜日

俳句 : 忘れ傘 乱蝶



 七夕も過ぎて伝なき忘れ傘

   たなばたもすぎてつてなきわすれがさ


 打ち水に石よりもとな蝶乱ぐ

   うちみずにいしよりもとなちょうさやぐ


.

2013年7月3日水曜日

俳句 : 夏の闇に寄せて




 見知らざる死の生り出でて夏の闇

  みしらざるしのなりいでてなつのやみ

 落着かず笑ふ死者あり半夏生

  おちつかずわらうししゃありはんげしょう

 気の早き花火聞こえてあと静か

  きのはやきはなびきこえてあとしずか


夏の闇、輝く闇、闇は死のメタフォである。ベトナム戦争の激しかった頃を追憶しての作。
.

2013年7月2日火曜日

俳句 : 半夏生の日



火の過去に葉白嘘つけ半夏生


               ひのかこに はじろうそつけ はんげしょう


.

俳句 : 水鱧 




水鱧の膳下げ来れば星の庭


旧作なのですが愛着があるのでバックを星野写真にしてみました。


.