呵られて泪に映す冬黄葉
木枯やべゞ着せたろと母のかほ
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紅葉する京を往きつつ云うむかし
垣根なく語らふて後 京もみぢ
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梅はまだ夜咄にもう月落ちて
総毛立つ夜噺ひとつ目が双つ
夜咄や床下の尾も振られをり
夜話といっても幅があるが、私には冬の怪談の記憶が強い。
これは個人的な嗜好と言えるのかもしれない。
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吹き当たり風雲を抱き冬へ入る
読みかけに恋は残りぬ初時雨
返す書うかばぬことば夕時雨
冬のやど朝餉の粥の湯気多し
板の間へいっぱいに射して冬の日
湯気を追う風途切れずに冬木立
冬日さす湯気を證として静か
はなもなき一日なりしが冬に入る
皃寄せて葛湯呉るゝが猫の様
差し湯して飲む薬にも冬到来
冬日射す小瓶の中味濁りたる
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はるえみていっせんのわざあゆみきぬ
春微笑て一旋の技歩み来ぬ
大車輪の得意な小柄な君であった。
いつも一旋回して笑顔でよぉーと
ひとなつかしい君であった。
女性に優しい君から粗暴なぼくは多くを学んで
若い大人になっていった。
居場所は遠く離れても志を共にして
ずっと一緒だったと言える君だった。
かつて駅で友達とともに
旅立つぼくを 送りに来てくれた君だった。
今君はひとり旅立っていった。
ぼくはひとり、ひとりで君を送る、
君を永遠へ。
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