2012年11月24日土曜日

俳句: 木枯らしのころ


    呵られて泪に映す冬黄葉

    木枯やべゞ着せたろと母のかほ


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俳句: 旧友との邂逅





紅葉する京を往きつつ云うむかし

垣根なく語らふて後 京もみぢ


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俳句: 冬の大仏殿




びるしやなの
かほうつくしき
ふゆきたる


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俳句: 夜咄





梅はまだ夜咄にもう月落ちて

総毛立つ夜噺ひとつ目が双つ

夜咄や床下の尾も振られをり


夜話といっても幅があるが、私には冬の怪談の記憶が強い。

これは個人的な嗜好と言えるのかもしれない。

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俳句: 冬の海



逃亡を所有と言ふぞ冬の海

俳句: 冬雀



      やゝ冬空雀消えにし午后のいろ


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俳句: 時雨る




            吹き当たり風雲を抱き冬へ入る

            読みかけに恋は残りぬ初時雨

            返す書うかばぬことば夕時雨




俳句: 湯気のある風景



           冬のやど朝餉の粥の湯気多し

           板の間へいっぱいに射して冬の日    

           湯気を追う風途切れずに冬木立

           冬日さす湯気を證として静か


2012年11月17日土曜日

俳句: 風邪日誌



          はなもなき一日なりしが冬に入る

          皃寄せて葛湯呉るゝが猫の様

          差し湯して飲む薬にも冬到来

          冬日射す小瓶の中味濁りたる



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大車輪の君







はるえみていっせんのわざあゆみきぬ 

春微笑て一旋の技歩み来ぬ 


 大車輪の得意な小柄な君であった。 

 いつも一旋回して笑顔でよぉーと
ひとなつかしい君であった。 

 女性に優しい君から粗暴なぼくは多くを学んで
若い大人になっていった。 

 居場所は遠く離れても志を共にして
ずっと一緒だったと言える君だった。 

 かつて駅で友達とともに
旅立つぼくを 送りに来てくれた君だった。 


 今君はひとり旅立っていった。
ぼくはひとり、ひとりで君を送る、
君を永遠へ。


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