春霞 隠れごころでつづく恋
はるがすみかくれごころでつづくこひ
妻こひし むかふを向いて 春の閨
つまこひしむかふをむいてはるのねや
春愁ということばがあります。
含蓄のあることばです。
そのなかに恋のこころも含んでいるはず。
年老いた夫婦のあいだに消え残る恋もあるとすれば
どんなものか、口に出すと嘘に変わるとしても、
言ってしまいたい気もしてくる春の宵。
かくれんぼの続きのままに燠火になったものもある。
時には枕を並べてしゃべりながら眠ってしまうことを欲していることもあるが、
もうそっぽ向いて寝てしまっていたりして、ものさびしく天井を見上げていたり。
そんな老いたる男の、らしくない恋の句。
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