猫の日向冬日遷りて終りけり
辛夷通り名付けし君に冬の接吻
鶴橋の屋台の冷えを詩語とせり
哀しみは空家に過(よぎ)る冬星座
*過る:よぎる。立ち寄っていくこと。
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酒ちびる程にかじかむ小指かな
鶴橋に熱き酒あり肉焼けて
熱燗に温めむ身もて高架下
居並べば熱き酒乞ふ顔となり
とびとびに痛む記憶に寒夜酒
*小指:大阪弁で、こよびというひともいる。
*ちびる:ここでは、ちょっとずつ飲むの意。ちびちび(と飲む)の動詞形。
*昔結婚間もなくは鶴橋近くの玉津というところに住みました。下戸の私を置いて妻は取材と称して鶴橋の屋台へよく行きました。親爺ギャルなんていう言葉のまだなかったころにオッサンにまじって舐めるように飲んでいました。寒くなると屋台へ迎えに行って一緒に帰った夜道を思い出します。