2013年5月12日日曜日

十五万人三度目の夏が来た






  十五万人三度目の夏が来た

  じゅうごまん にん さんどめの なつが きた 




  夏草や天日襲ひ起つ瞋 

  なつくさや てんじつ おそい たつ いかり




  草萌えもいま夏の野に賊となる 

  くさもえも いま なつの のに ぞくと なる




  草茫々故郷を恋ふ十五万 

  くさ ぼうぼう ふるさとを こう じゅうごまん 




  十五万今も烈しき海の夏 

  じゅうごまん いまも はげしき うみの なつ

2013年5月11日土曜日

端坐せる母を憶へり夏座敷



 

         端坐せる母を憶へり夏座敷

         傾きて猶も端居の蒸す日かな




泥田の光


      蚯蚓出で正午泥田のひかり増す

雨蛙



        跳んでから田螺御免と雨蛙

        雨蛙小池の雨のうすあかり

        雨蛙ひたと聴きいる山の音


        NHK俳句の題に『雨蛙』が出ていたので作ってみました。


2013年5月7日火曜日

昼寝




寝返りをうって昼寝のふっと覚め

ゆめに追ふきみの背に触れ昼寝覚む

昼寝覚む羽化する蝶に似てひとり

覚めて猶昼寝のゆめのきみを追ふ

2013年5月6日月曜日

夏の渓谷に響く声



蟇の声川音の勝る夕かな

ひきのこえかわとのまさるゆうべかな

蟆の声が聞こえた気がする




微熱あり臥す身に暗に蟆のこゑ

 びねつありふすみにあんにひきのこえ

夕月の田みづかゞやく村となり

 ゆうずきのたみずかがやくむらとなり

2013年5月5日日曜日

吹き流し




   西向きの坂に来りし老いの夏

   吹き流し夜はためくを聴いて居り

   覚悟さへ遠くにおいて夏の川



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花の雨



鼻緒切れ接ぐ間の足や花の雨


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余花の路



余花たづね踏みし小道の冷え加減


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