藪椿 雪の貴船の 雪のうへ
雪受けて 紅い花弁のまゝで落ち
藪椿 きふねの雪に逢い初めし
奥つ宮 ゆき ゆき きふね 藪つばき
まんてんの ゆき ゆき 滂沱 藪つばき
遠白き夜明けの空や凧あがる
薄明のだだっぴろい空に春めいたまだうそ寒い風。
凧がひとつ上がっている。
ルージュ
風止んで芽立ちの赤さ春めきぬ
風やんで芽立ち赤さ春めきぬ
まだ冷たい風に耐えて身を縮め風が止んで気も緩む
そこに赤いものが新芽だった。春を感じた。
待つ皃で小雪に眺いる母の傍
ふと弱気云ひかけ 雪に又笑みて
老ひと云ふは病にあらず 雪已まず
春来れば歌舞伎を見せむ 春くれば