昭和レトロという言い方がすっかり当たり前になった現在の日本では
昭和38年(1963年)は歴史の中にぼんやり浮かんでいるわけですが、
私的には鮮烈な特別な年であった。
そのS38に時機を設定したアニメ「コクリコ坂から」が出来たというので
ネット予約をして翌日のオープンの日に
近くのWBイオンシネマシアターへ行って見てきた。
舞台は横浜。時代は東京オリンピックの前年。
主人公たちは高校三年生。
旧制中学校時代からの鉄筋コンクリート建物の校舎。
木造のそれより古い洋館風の建物(に入っているのは
個性的なクラブやサークルの部室)がでてくる。
懐かしすぎる風景。
自分の通った高校もよく似た雰囲気だったから
まるで主人公達が昔の自分たちのように感じられて
いつの間にか画面の中に入り込んでいるような気分で
目を瞠っていた。
青春は何時の時代でも同じ青春。
でも時代によってかたちは違っている。
ジブリのアニメとしては
息継ぎ的な作品と思うのだけれど
懐かしさをかき立てて
思い出のシャンパンの泡に包んでくれたので
ぼくには100点の出来。
ガリ版印刷なんて知らない世代のほうが多い昨今。
ガリ切りでペンだこできながらも ビラを作っていたことを
思い出させてくれた「コクリコ坂から」には
しばしの幸せをもらった。
物語の中では
海が輝き 風が光ってた。
信号旗がはためき
少女の瞳の中を 空が流れていった。
暑い夏の贈り物
あの熱い青春の記憶
揺さぶり起こしてくれた佳作「コクリコ坂から」
美味しい紅茶と白いケーキのような
甘く薫る初恋にも
出会えるアニメだ。
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