今日の詩
春行寄興 李華
宜陽城下草萋萋
澖水東流復向西
芳樹無人花自落
春山一路鳥空啼
宜陽城下 草萋萋
澗水東流し復た西に向う
芳樹 人無く 花自ずから落ち
春山一路 鳥空しく啼く
萋萋 せいせい
澖水 かんすい
宜陽城下は草がぼうぼうと茂り
谷川は東に流れ、また西に向かう
木々のかぐわしい花はそのままに散っていき、
春山に一路の道あり、人気ないあたり鳥が鳴いている。
春行寄興 題は「春のそぞろ歩きのうた」といった感じの題だろうか。
自落・空啼は対になっている。「自ずから落ちる」も
「空しく啼く」も人の介在なしに在る様子を表現している。
空しい山「空山」が人気ない山を云うのと同じこと。
草萋萋も人手を予想しない生え方であろう。
関係の有無は知らないが
芭蕉の「行く春や鳥啼魚の目は泪」の句を憶いだした。
春が来たと実感できた日に読むにはこんな詩がいいかなと。
城下というのは中国語では「城壁の下」か「都城のあたり」だろう。
ここでは「町はずれ」と読めばいいのだろう。
居住区や商工区は城内だから、城下というのは郊外になるだろう。宜陽の町はずれには春の草が生え出ている、という風景。
宜陽の城下(まちはずれ)
草ぼうぼう
澗水(たにがわ)流れて
東複た西
春山一路(はるの野のみちどこまでも)
人無くして(ひとけなくして)
芳樹(はなぎにかくわしくさく)
花は自ずから落ち
鳥空しく啼く(きくひともなくとりはなく)
意味はこのような組立だろう。
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